(マーケティングの)天才シンガーソングライター、みゆはん
あなたは2月22日に「自己スキーマ」でビクターからメジャーデビューする「みゆはん」というシンガーソングライターをご存知だろうか。
そしてもうすでに金髪が恋しくなってる今 pic.twitter.com/EHpVHS7Xa1
— みゆはん (@bknb_mew) 2015年3月19日
彼女は2014年からツイッターを中心に活動しファンを増やしている。フォロワー数は16万人目前というところまで来ており、これはBase Ball Bearの小出祐介より多い。がんばれ小出。
彼女の活動には普通のシンガーソングライターではありえない特異な点がいくつかあるので今回紹介させていただきたい。彼女は(マーケティングの)天才なのだ。
曲を出さない
みゆはん最大の戦略その1。彼女は長らく自らのオリジナル曲を発表しなかったし、ライブをすることもなかった。
気まぐれ動画(。・_・。)
— みゆはん (@bknb_mew) 2015年8月4日
ちっぽけな愛のうた/大原櫻子 pic.twitter.com/kWIY7000em
たまにちょっとしたカバー動画をアップするのみ。この点がまず凡百な連中と彼女の違うところである。「シンガーソングライター」だからといって曲を聴かせる必要はないのだ。言葉にとらわれない発想が素晴らしい。
メジャーデビューが控えているのにCDの試聴もまだできない。個人的にはこのまま一切聴かせないまま発売してほしい。それでもCDショップの特典が9種類だかあってファンがたくさん買うから、売り上げはそこそこいくと思う。なんらかのランキングの上位に食い込むだろう。
見た目で名を売る
みゆはん最大の戦略その2。FFの最新作かと思うようなそのルックスこそが彼女の生命線だ。
金髪(:3 っ) pic.twitter.com/cwpfZHSLzm
— みゆはん (@bknb_mew) 2016年10月9日
金髪、ショート、コミュ障……世の中のナード階層に位置する人間どもが仮想現実の存在として愛せる要素満載である。結局ブスが歌っても大衆は振り向かない。ならかわいい子が歌わなければいいという天才にしかできない発想。この合わせ技でみゆはんは音楽業界を席巻している。
……そのために必要な要素、それが、画像の加工である。
徹底した画像の加工
鼻痒いけど手が塞がってて掻けない人の過程 pic.twitter.com/MDhwEVNOeP
— みゆはん (@bknb_mew) 2015年2月19日
もうこれなんか変顔×加工で次元が歪んでしまっているが、このくらいやらなければいけないのだ。
昨今、このまま機械が進化し続けると人間は仕事がなくなるとよく言われるが、みゆはん自身はCGの叩き台みたいなもんで、機械の仕事を肩代わりしている稀有な人間だ。
これはもはや「素顔」と形容していいと思うが、ツイッターにアップしている弾き語り動画などでは徹底してみゆはんの素顔は隠されている。
本日の弾き語り_(┐「ε:)_
— みゆはん (@bknb_mew) 2016年12月8日
ハッピーエンド / back number pic.twitter.com/yAtcHTq1si
歌もギターも別撮りなので動画も加工して編集すればいいはずなのだが、動画のほうが静止画より加工が面倒なので、顔だけフレームアウトさせているのかもしれない。 今後フルCGに近い状態のPVが制作されることを期待したい。
みゆはんの「素顔」
ここまで読んだらみゆはんの「素顔」を見たいと思うのが人情だと思う。俺もそうだ。見たい。ロトの剣、鎧、盾に続く幻の装備であるロトの仮面(ぼうぎょりょく:255)を外した彼女の顔を見たい。
調べたところ、みゆはんは雑誌KERAに何度かモデルとして掲載されていたという。そこで一緒だったのであろうモデルさんのツイッターに登場していた。こちらがその写真だ。(消されてたので別の方のツイートを貼り付けます)
金髪ショートで有名なみゆはんですがこれは酷い pic.twitter.com/KyHgaIKK5l
— †Ɩ ıりན ま₹な† (@sqehqmu) 2017年2月2日
……え?
いや、どっちも写真なんだけど、この画像を使わざるを得なかった。
さらに調べたところ、みゆはんと同一人物とみられる「みゆう」さんというかたの弾き語り動画が見つかった。(こちらも消されてしまった……)
うーん。かなり腕っ節が強そうではあるが、多分同一人物。出身地も一致してるし。
あと、みゆはんのツイッターで加工が足りてない動画が見つかったので貼っておく。
今日うるさくてごめんなさい。大人しく曲作りして寝ます( ´•௰•`) https://t.co/E3HTBdOXs5
— みゆはん (@bknb_mew) 2015年4月29日
みんな、だいたい想像できたんじゃないかな。素顔のみゆはんが。
ブスではないが、とてつもない美女でもない。声に特徴があるわけでもなく、歌が神レベルにうまいわけでもない。
そんな彼女が闘う手段を見つけたのだ。卑怯と言われても、詐欺だと言われても、彼女は闘う。
「顔を隠す」から「素顔を隠す」時代へ
さて、話は変わってみゆはんの所属事務所について。みゆはんのスマホアプリに書いてあった。ちなみにこのスマホアプリの仕組みも月額課金でガッツリファンを囲い込む仕様になっていてすごい。
所属事務所はHighSpeedBoyz。他に所属しているアーティストは、GReeeeNやその親戚がやってる事務所と同名のハイスピードボーイズ、whiteeeenなどの名前が並んでいる。
そう。思いっきり顔を隠してる人たちの事務所に、「素顔」を隠してるシンガーソングライターが加入したのである。単純に顔を隠すだけの時代は終わった。これからは、顔を出してるかと思ったら実は隠してたというのが最先端なのだ。みゆはんはすでにGReeeeNを超えているのだ。
あのバンドのようにはならないでくれ
ここまで散々書いてきたが、別に俺はみゆはんが嫌いなわけではない。いや、歌はまあ、今にも「♪oh Good-bye days♪」って叫びそうにはなるけど、それはどうでもいい。シンガーソングライターだけど歌がメインじゃないんだから。俺は、この売り出し方に興味がある。
みゆはんがやろうとしていることは、大いなるチャレンジだ。自分を市場に売り込むのではなく、市場のニーズに合った形に自分を変える。等身大の自己表現こそ是とされるシンガーソングライター界に蔓延する風潮を破壊しようとしている。
深読みすれば日本の音楽業界、芸能界に対するアンチテーゼであり、挑戦状ともとれる。「真面目にやっている」普通のシンガーソングライターやバンドたちをバカにしているともとれる。ムカつくという人も多いだろうが、俺はこのまま闘っていってほしいと思う。どういう結末を迎えるか見たいから。
今後ライブをやるならスクリーンの後ろで歌ってsnowのリアルタイム映像投影するするくらいの徹底っぷりに期待したいし、本名も出さないでほしい。まあ今回調べていく過程で本名わかっちゃったけど。
"特殊な匿名性"を生み出した天才みゆはん。死ぬほど売れて、それでも「素顔」は出さないでくれ。andropみたいに「え、別に隠してませんでしたけど?」みたいな感じでサラッと方向転換するのは絶対にやめてくれ。絶対に。