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偏見、冤罪、薄給、オムツ替え……元保育士の男性に本音を聞いてみた

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こんにちは。社会派ブロガー、いぬゆな(@inuunited)です。普段は冗談ばっか書いてますが、今回は真面目な話です。

 

2016年2月、大いに話題となったはてな匿名ダイアリーの「保育園落ちた日本死ね!!!」がきっかけとなり、待機児童問題と保育への関心は非常に高まりました。もはや社会現象と言っていいかと思います。

僕は生まれてからずっと千葉に住んでるんですが、千葉市では以前から待機児童問題についていろいろな取り組みを行っていたようで。そこからさらに踏み込んだ形で、熊谷俊人千葉市長が「男性保育士の数を増やす。男女の区別なく活躍を推進する」とツイッターで発言。その中の「男性保育士によるオムツ替えに嫌悪感を示す保護者がいるが、それは差別である」という趣旨の発言が結構な炎上。

「性犯罪のほとんどは男の仕業なんだから子どものシモの世話は女にやらせんかい!」(要約)とブチ切れる方が多数出現し、市長のリプ欄は戦争状態に突入してしまいました。一人の千葉市民としてその様子をウォッチしてたのですが、なかなか世紀末でハードコアな光景でした。

 

僕はまだ子どもはいないのですが、そうこうしているうちに興味が湧いてきたので「保育の現場における男性保育士、ぶっちゃけ現状どんな感じなんですか?」というインタビューを元保育士の男性にさせてもらいました。匿名で顔出しNGですがエアインタビューではありません。

この元保育士さん、業界の中でもおそらくかなりレアな経歴を持っていて、なおかつめちゃめちゃひどい目にあっています。でも一回も「保育の仕事を選んだことを後悔している」というようなことはおっしゃらなかったです。それは本当すごいと思う。僕だったら即ブチ切れて罵詈雑言を地の果てまで拡散しようと試みると思います。

 

今まで保育に携わるさまざまな方々へのインタビュー記事を読みましたが、そういうところには書いていない(書けない)本音を語ってくれました。個人ブログなので、ちゃんとしたメディアだったらカットするであろうヤバげな発言もそのまま載せます。

 

ですので前提として共有してもらいたいんですが、この元保育士さんが言っていることがすべて正しいとか、肯定するということではなくて、こういう意見もあるんだという一つの参考として読んでもらいたいです

地域や保育所によって雰囲気は全く違うと思いますし、他の保育士経験者の方に聞いたら真逆のことを言われることもあるはずです。僕はそっちの意見も聞いてみたいので、違う意見や感想あればぜひぜひ教えてください。

ちっちゃなブログの一記事ではありますが、保育業界に何かしらのいい影響が起こることを願って。

 

 

元保育士さんの壮絶な経歴編

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「こんにちは。よろしくお願いします。まず最初に元保育士さんの経歴を簡単に教えていただけますか」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「こんにちは。元保育士です。保育所、幼稚園、それに学童保育所でも働いていました。それと、上海の日本人幼稚園でも働いた経験があります」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain

 「いきなり話がグローバルになってビックリです。保育の仕事に就こうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「直接的には漫画の「めぞん一刻」です。僕たちが子どものころはまだ保育士という言葉はなく、資格の正式名称も保母だった時代で。めぞん一刻の主人公が保母資格を取ったのを読んで、男でも保母になれるんだと知ったところがきっかけになりました。

保育士と幼稚園教諭の資格は別で、両方取得しようと思い、まず自分の通っていた幼稚園へ教育実習に行きました。しかし、当時はあまりにも男性の先生が珍しくて半ば不審者扱いされていました。

女の子を肩車していたら近隣の女性から苦情が来て、主任からそのことを自覚が足りないと怒られたり。自覚ってどうしようもないじゃないか……と思いましたが、当時にしても田舎ならではの出来事だったのかもしれません。

 

その後、大学を卒業してすぐ保育園に勤めましたが、わずか二か月でクビになりました

ある日、年長の女の子が最後に残り、その子が熱っぽかったので布団に寝かせて、自分は隣で日誌をつけていました。すると後日、僕が女の子と添い寝をしていたという話になり、会議が開かれたんです。

無論その場で潔白を主張したのですが、そんな疑いをかけられるような勤務態度をしてるからだ!と吊るし上げられ、辞めさせられました。密告したのが誰で、なぜそんな嘘を言ったのかは未だにわかりません」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「大卒の若者に対していきなりハードコアすぎる仕打ちですね……教育実習とはじめての職場で続けてそんなことになったら、もう保育なんて嫌だ!と思いそうなものですが、そうはならなかったのでしょうか」
 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「それから地元に戻ったのですが、そこには男性保育士を採用する土壌はなく、しばらくは普通にサラリーマンをやってました。しかし、一度くらいちゃんと先生をやりたいという気持ちはずっと消えませんでした

それと、海外生活も一度したかった。なら海外で幼稚園の仕事をしようと、片っ端から履歴書を送りました。バンコクやラオスを回って、最終的に上海の日本人幼稚園に就職が決まりました」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「なんですかその発想と行動力!?どんどん話がぶっ飛びすぎてインタビューの趣旨を忘れそうですが、上海時代のことを聞かせてください」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「預かるのはほとんど日本人駐在員の子どもで、日本に帰れば帰国子女と呼ばれる子たちでした。いずれ日本に帰ったとき、その子たちが浮いてしまわないよう、なるべく日本と同じような環境を作っていました。

しかし海外ですから当然ですが、日本人幼稚園は文部科学省の管轄にはなりません。つまり、日本人幼稚園なのに日本の教員資格を持たない人間でも先生になれるということなんです。実際そういう先生は何人もいました。

 

この園は体力作りを売りにしていて、運動会の組体操では四段のピラミッドがクライマックスでした。日本の教員資格を持たない先生たちは体育教師の免状があったので、それが評価されてどんどん出世していったんです。僕としては納得がいかなかったです……

危険な巨大組体操は日本で少し前に問題になりましたが、僕も子どもの発達にはそぐわないと思います。僕の勤めていた園でも毎年けが人が出ました。その場合、全責任は担任が負わされます。運動のできない子どもをフォローするのは本当に大変だったし、子どもの負担も当然大きい」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「中国と日本で全然仕組みは違うのに、最終的に問題になる部分が一緒とは不思議なもんですね」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「突然辞めてしまったり、ひどいのになると夜逃げ同然に日本に帰ってしまう先生が毎年必ずいました。それを防ぐためにルームシェアさせて職員同士を監視させあうのですが今度はそこで人間関係がこじれてしまうこともありました。

日本にも園があり、園長が常勤でないことも問題でした。園長が現地に不在のため主任の力が強くなりすぎて、やりたい放題で」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「監視させあうって、秀吉の時代の農民みたいじゃないですか……」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「その後帰国し、学童保育所で働きはじめました。2年生の女の子に特になつかれたので、おんぶなどをしていると小学生にタッチしないでくださいと施設長からクレームを受ける。仕方ないのでその子に触れないようにしていたんですが、今度はその子が自分に嫌われたと思って泣き出したりしてしまう

女の子に一切触れてはいけないなら、男性採用自体やめてくれと思いましたが、その学童保育所の女性職員は年配の方ばかりだったので、男手は欲しかったんでしょう。力仕事はほとんど僕が請け負っていました。一人だけ走り回された上に肩身が狭い思いをさせられて、残念ながら辞めざるを得ませんでした」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「ここまでの話、ひたすらに不遇で泣けます。

 

さて、本題に入っていきましょう。待機児童問題に関する千葉市長の発言についてお聞きしたいので、流れをまとめておきます。」

千葉市長の待機児童、保育に関する発言まとめ

※もう読んだ!知ってる!という方はこの部分飛ばしてくださいね~

・2010年5月

熊谷氏の千葉市長就任は2009年の6月。早い段階から待機児童問題に取り組んでいたことがわかります。

・2012年5月

 待機児童数が大幅に減少との報告。

(勘違いしがちなのだが、「待機児童」という言葉からは、特定の保育所のみを希望する人などは除外される。つまり、「入所待ち児童」と呼ばれる、実際に保育所に預けられない児童が0人というわけではない。市長は他のツイートでそのことにも言及している)

・2014年4月

待機児童ゼロ達成の報告。

・2017年1月

ようやく今回のインタビューに直接関係あるところまで来ました。ほんと長くてごめんね。このツイートが炎上したことが、あなたが今読んでくれているこの記事を書くきっかけになりました。

【議論再追加】熊谷千葉市長の男性保育士に関する議論。保護者の男性保育士を自分の娘に担当させるなと言う要求は正当なのか? - Togetterまとめ

炎上した経緯はこちらにまとまってますが、初っ端からブチ切れてる方々のツイッターアカウント見てみたら凍結されててちょっと笑ってしまった。

・2017年3月

男性保育士に「うちの子を着替えさせないで」。保育園の様々な問題を、現場に行って色々見てきた | SPOT

 1月の発言を受けてのインタビューが含まれる記事。記事中の

「実は、TwitterやFacebookに意見をくれたユーザーがどんな方なのかを、全部チェックしました。プロフィールから過去の発言も全部追いかけて」

 調べていくと、“ジェンダーフリー”の生き方を持った方々で、例えば女性の権利を守るために活動している方が非常にこだわっていらっしゃることも分かりました。もちろん、保育園に預けていた経験のある方で反対意見を出していた人もいましたけれども、それは本当にレアなケースで。

このあたりの発言が火にガソリンをぶっかけるような結果に。人ってSNS上でここまでキレることが可能なんだなって思いながら市長のリプ欄見てました。そしたら市長もキレた。

熊谷千葉市長「貴方は普通じゃない」が物議【男性保育士問題】 - Togetterまとめ

ここまでくると誰が正しいとかの話じゃなくて、本当にただの闘争になってるのでどうにもコメントできませんね。

保育園落ちた日本死ね!!!の人は熊谷市長肯定派

それでちょっと面白いのが、

日本死ね!の人(らしいツイッターアカウント)は、こういうツイートしてるんですよね。待機児童問題をみんなが考えるきっかけになった人は、熊谷市長に対してどちらかというと好意的な立場。

だから市長が正しいということではなくて、待機児童問題に悩まされている人の中でも、市長発言の受け取り方はさまざまだということ。ブチ切れてる人もいれば、肯定的な人もいれば、無関心な人もいれば、中立な人もいる。それを理解した上で「自分はこう思うが、あなたはどう思いますか?」という議論になっていけばいいなと思います。

 

オムツを替えられない保育士は、いらない

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「さてさて前置きがクソ長くなりましたが、女の子の着替えやオムツ替えなどは男性保育士にやらせるべきなのか?という議論についてはどう思われますか?」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「現場の意見として言わせてもらえれば、男女関係なくオムツ替えやお漏らしの処理ができない保育士なんか要りません

年長でもいつ漏らすかなんてわからないし、漏らしてしまったことを黙っていることだってあります。臭いで気づいたら、すぐ対応してあげないといけない。そこで性差がどうたらなんて言ってたら使い物になりません。

基本的には体力もあるし力仕事も得意なので、男性保育士が重宝がられる場面は多いです。だからといって『他の仕事がたくさんあるので、オムツ替えは女性保育士におまかせします』では現場は回りませんから」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「考えてみたら、『女の先生呼んでくるから待っててね~』って、漏らしてる子どもに言うのってものすごく残酷な気もします。一秒でも早く助けてもらいたいでしょうに」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「千葉市長のツイートでもあったように、オムツ替えの世話をすることでアタッチメント(愛着)の効果が生まれます。保育士と児童が円滑な関係を築くためにも必要なことです。

 

そして、それは子どもたちが親になったときにも影響してくると思うんです。幼児期に男女隔てなくきちんと世話を受けることで、自分の子どもの世話もきちんとできるようになるのではないかと。

自分の父親は、家事も育児も一切しませんでした。保育は保護者との連携が必要不可欠ですので、保護者も含めて男女隔てなく保育に関わっていければ、自分の父親のようなタイプの保護者を減らすことにも繋がると思います。

 

そして特殊なケースですが、以前、男性保育士にオムツを替えられることを異常に拒否する女の子がいました。調査すると、その子は父親から性的虐待を受けていたんです。もしその保育所に男性保育士がいなかったら、男性保育士がオムツ替えをしていなかったら、見逃されていたケースかもしれません

僕はまだ子どもがいないので、本当に父親の気持ちがわかるのかと言われたら、ハッキリわかりますとは答えられません。しかし自分の経験では、自分の娘を男性保育士に預けたくないと言う父親は、子育てに参加していない人がほとんどでした

それに6歳以下で羞恥心のある子どもなんて、先程のような特例を除けばまずいません。もしそういう子どもがいたら、まず家庭に問題があることを疑います」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「ふーむ。大きな話になってきましたが、子育ては保育所や幼稚園だけでやるものではないですもんね。託児室を設置したり、子どもを抱きながら仕事してOKという会社が増えてきたりしていて、社会全体で子育てに取り組んでいこうという意識が高まっている印象はあります。

 

そういえば、担任でない保育士が世話をすることが増えた時期、子どもが非常に不安定になったという話を聞いたことがあるんです。運動会の準備で男性保育士が力仕事に駆り出されてしまったのだとか。準備が終わって担任男性保育士が世話に戻ると、すぐ不安定さはなくなったそうなんですが」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain雑用のために担任がクラスを離れることなんてあり得ないです。子どもにとって担任は絶対なので、絶対にクラスから離れてはいけません。

力仕事にしても、よほど重いものでなければ女性でも運べるはずですし、状況にもよりますが無理に配置転換して行うべきではない。その子の不安定さと直接関係あるかは断定できませんが、世話をする保育士がコロコロ変わるのはいい影響はないと思います

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「なるほど。そういう観点から考えても、やはり保育士の性別で世話の内容を変えるのは適切ではない、ということになるのですね」

 

実際、性的虐待目的で保育士になろうとする奴っているの?

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「それでも、男性保育士による子どもへの性的虐待を心配する声はあります。ぶっちゃけた話、最初からそれ目的で保育士になるクズ野郎ってそんなにたくさんいるんですか?

いや、実際強制わいせつ罪で逮捕された男性保育士がいるので、ゼロではないんでしょうけど。元保育士さんの目から見てどのように感じますか?」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「そういう偏見があるのはわかりますが、保育士は国家資格で、取得するにはお金も時間もかかります。自分自身も大学時代に遊んでいた記憶はほとんどありません。給料も安く、昇給もしない。大学の同期の男性で保育士を未だに続けてるのは公立保育所で働く一人だけで、あとは一般職や介護職に就きました。保育士って、食べていけないんですよ

幼稚園教諭の実習もものすごくハードでした。教材は全て自分で用意する上、日案や日誌を毎日A3用紙に四枚ずつ書かされます。担任とも毎日一時間のミーティング。本当に寝る時間がないし、しょっちゅう担任から叱責される。地獄のような日々でしたし、ここで脱落する学生もいます。これは園に当たり外れがあるので様々ですが……

 

そんな苦労をしてまで、犯罪行為をするために保育所、幼稚園で働きたいというのは信じられないです。性欲を発散する手段としてこの仕事を選ぶのは、あまりにも効率が悪い。保護者はおろか、経営者の側にも『男性保育士の多くが性的な動機でこの仕事を選んだ』という偏見を持っている人が多いのは、本当に悲しいです」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「まあそうですよね……普通の仕事で普通に稼いで、そういうお店行って発散したほうが効率的でしょうし。子どもじゃないと興奮しないっていう本物の変態ならそうもいかないんでしょうけど……」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「もちろん自分自身も含めて、僕の知る限り小さい女の子に性的な興味がある保育士はいません。無論そういう嗜好のある男性保育士はゼロではないでしょうが、保育士に特別多いというわけではなく、割合としては他の職業とほぼ変わらないはずです。

 

むしろ、女性保育士に対してこいつヤバイなと感じることのほうが多々ありました。例えば雑談の中で『○○君かっこいいよね』とか『あの子俳優の××みたいだよね』とか普通に言ってたり、あの子がかわいい、あの子嫌いみたいなのを言う女の先生は多かったです。

男性保育士は『△△ちゃんかわいいよね』なんて怖くて言えないです。逆に偏見に対する自衛のためなのか、聞かれてもないのに巨乳好き、年上好きをアピールする人が多かった印象があります。

また、ジュニアアイドル好きな男性保育士がいたら白い目で見られると思いますが、女性保育士がジュニアアイドルにキャーキャー騒いでいても誰も気にしませんよね。よく考えてみると、男女を入れ替えたら非常にまずいことを、女性保育士は自覚せずやっているわけです」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「偏見や差別と捉えるか、区別と捉えるか、意見が分かれそうなところではありますが、女性保育士ならイコール完璧に安全かと言われるとそんなことはないんですね。

男女の性犯罪率の差だけを考えれば、男性保育士は特に注意すべしという論理は成り立ちます。しかし女性保育士が偏見に無頓着では男性保育士もいい気持ちはしないでしょうし、やはり難しい問題です」

千葉市長の一連の発言に対する、元保育士の本音

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「千葉市長のような人が保育業界に一石を投じてくれるのは、本当にありがたいことです。ジェンダー論で殴りかかる相手に正論を突きつけ、矛盾を指摘し、さらなる反論を恐れないというのがすごい。

そのさらなる反論は、ほとんどが言いがかりにしか聞こえません。ペドフィリアと逆差別をすり替えるなって、男性保育士は全員ペドだって言ってるのと同じです。そんな偏見を持ってる人がまだこの時代にいるのかと悲しくなりました。

性犯罪者の男性比率が高いからといって、男性保育士や小学校教員を犯罪者予備軍扱いするのはヘイトスピーチですよ。未だにフェミニズムには疑いの眼差ししかありません。あんなもん、自分以外の女性を殴るための棍棒です」

 

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「めちゃめちゃ怒ってますね。まあ元保育士さんが受けた今までの仕打ちを考えるとしょうがないですけど」

 

f:id:inuunited_12:20170614174123p:plain「強い言葉を使いましたが、もちろん男性保育士だけが不当に貶められているとは思っていません。日本の保育を正常化するには、男女は関係なく保育士という仕事自体の待遇改善が必要です。幼稚園の先生も30歳定年なんて言われていて、その年頃の女性教諭に園長が見合い話を持ってくるということが一昔前はよくありました。

勤続年数で給与が上がらないにも関わらず、年齢を重ねると体力的に厳しくなる仕事のため、みんなどうしても長く続けることができません。すると5年目くらいで主任を任されることもあります学校では25歳の教頭や学年主任なんてあり得ないですが、保育の現場ではそうならざるを得ないのです

 

学校の先生や看護士は60歳まで働けるのに、幼稚園の先生や保育士はその半分程度までしか働けない。育児は体力勝負なので仕方がないところもありますが、30歳で使い捨てられるとわかっている仕事になんて、就こうと思う人が増えないのは当たり前です。

『日本死ね』の人のように子どもを保育所に入れられないのは、そもそも保育所の数が足りないから。そして保育所の数が足りないのは、保育士のなり手がいないからです

ナイチンゲールの言葉に『奉仕の精神にも頼るが、経済的援助なしにはそれも無力だ』というものがあります。保育士は、経済的に考えると"仕事"になっていないというのが私見です。

 

そもそもなぜこれほどまでに保育士が過酷な労働環境におかれているかというと、四年制大学に行く女性が少なかった時代、"結婚して専業主婦になる前に経験しておく仕事"として当時の保母という職業に就く人が多かったからではないでしょうか。また、実態以上にそういうイメージがついてしまったから。今に至るまでそれを引きずってしまっている。

今や共働きや育休というものが当然になってきましたが、保育所の労働環境は20世紀で止まっています。 その環境だけは早く変えないと、保育士に対する偏見はなくならないままだと思います」

 

まとめ

f:id:inuunited_12:20170416125934p:plain「元保育士さん、ありがとうございました。一万文字近い文量を読んでくれたあなたも、ありがとうございました。

元保育士さんは今後、運動療育を行う施設で働くことになりそうだとのことです。『そういう世界から逃れられない運命なのかな』と自嘲してらっしゃいましたが、何度もひどい目にあって、一度はサラリーマンになって、それでも保育の分野に関わりたいんだっていうモチベーションはものすごいと思うし、尊敬します。

 

異色の経歴をお持ちの元保育士さんですが、だからこそ保育業界の現場を非常に憂いています。男性保育士への偏見だけでなく、女性保育士も含めた保育業界全体への偏見をなくす。

そのためにはやっぱり経済を回さないといけないし、でも子ども預けられないと働けないし、一億総活躍できないし、そんなことばっか言ってる間に子どもの数どんどん減ってるし、ああもう、どうしたらいいんだよこの野郎、という状況なわけです。

 

国や自治体がお金をドカンと投入すればそれで済む話なのかもわかりませんが、僕はもっと元保育士さんや現役の保育士さんたちが本音を叫んでほしいなと思います。やっぱり、保育士の現状が伝わりきっていないと感じたからです。お金はないけど子どもたちの喜ぶ顔が見れればそれでいい……なんて、嘘だとは言わないけど、そのあとに続く『だけど……』の部分を、聞きたい。

 

子どもは国の宝。じゃあその子どもを育てるのに協力してくれる保育士さんたちも、また宝です。こんな場末のブログでも、"伝える"ってことにちょっとでも貢献できれば幸いです」

 

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一応半分シャレで↑貼ってみたけど、このインタビュー読んで保育士になろうって思う人が1人でもいたらすげーよね。保育士キツいぞ!って話ばっかなのに。でも、キツいけどやりたい!って人がいるってことは、その分やりがいがあるってこと。今後待遇が改善されて、やりがいも維持して、保育士がみんなの憧れる仕事になったら、本当に素晴らしいことだなあと思いました。おわり。